地盤調査の目的は、「地耐力」を調べることです。
では、地耐力とは、具体的には何なのでしょうか。
このことは、平成13年国土交通省告示1347号の中に示されています。

地盤の許容応力度(支持力)と沈下特性=地耐力

地耐力とは、①地盤の許容応力度(支持力)と、②沈下特性を総合したものをいいます。

地盤の許容応力度(支持力)

許容応力度(支持力)は、地盤が、1㎡あたりどれだけの重みを支えることができるか、という形で表現されます。
例えば、「40kN/㎡」とは、地盤1㎡あたり、40kN(キロニュートン)≒約4トンの重みを支えることができる、ということを意味しています。

国土交通省告示1347号に記されていることを分かりやすく表現すると、以下のようになります。 20kN/㎡以下杭基礎であれば施工してもよい。 20~30kN/㎡ ベタ基礎、杭基礎であれば施工してもよい。 30kN/㎡以上布基礎、ベタ基礎、杭基礎であれば施工してもよい。

!支持力20kN/㎡は、「この地盤は1m×1mの面積で約2tの重さを支えることができる」ことです。

沈下特性

また、国土交通省告示1347号では、「建物を建てた際の、自重による沈下とその他の地盤の変形などを考慮して、建物に有害な損傷、変形が生じないことを確認すること」も必要とされています。

従って、地盤調査結果は、①「地盤の許容応力度(支持力)」の結果と、②「建物を建てた際、建物の重み等の影響による沈下量の予測」の結果の双方が必要になるといえます。

地盤の許容応力度(支持力)+ 沈下特性=地耐力

住宅を建てる際の地盤調査は、戸建て住宅の場合、表面波探査法、またはSS試験(スウェーデン式サウンディング試験)で行われるのが通常です。 次に、この2つについて説明します。

表面波探査法とスウェーデン式サウンディング試験(SS試験)の3つの大きな違い

地盤調査は「許容応力度(支持力)調査」と、「沈下量予測」の2つを把握することを目的とします。
2つの調査方法には、それぞれ特徴があります。

表面波探査法による地盤調査方法

表面波探査法の画像

表面波探査法は地面をゆらして、その“ゆれ”の伝わる速さにより、地盤の硬軟を判断します。 データの変化から、地層の境界を判別し、各層ごとに支持力がどのくらいあるかが分かります。

スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)試験

スウェーデン式サウンディング試験(SS試験)試験の画像

先端がスクリューになったロッドを回転させながら、25cmごとに地面に貫入させていきます。 この回転数により、地盤の硬軟を判断する方法です。25cmごとに地盤の支持力がどのくらいあるのかが分かります。

  • 点と面 表面波探査法は1回の測定する範囲が50cm~100cmほどの範囲になります。
    これに対して、SS試験は最大3.3cmの円柱での情報となります。
  • 地耐力の測定 表面波探査法は、地耐力(支持力+沈下特性)を明らかにします。
    これに対してSS試験は経験を積んだ熟練した技術者でなければ、地耐力の測定が難しいと言えます。
  • 地盤改良コスト 従来、SS試験では、自沈(ロッドを回転させないでも貫入する状態)すると、何らかの工事が必要という結果を出す業者さんが多かったですが、表面波探査法では数値により地耐力を細かく判断します。
    それにより、必要以上の地盤改良工事、地盤対策工事を減らします。 詳しくはコチラ
比較項目表面波探査法SS試験備考
土質などの条件による汎用性にじゅうまるさんかく砂礫層などの場合、SS試験の後、改めて表面波探査法を行うことがある。
調査の簡便さまるまるどちらも機械式となっており現場での作業性はよい。
調査コスト高い安い地盤改良工事会社がSS試験を行っている場合は、低価格であることがある。
トータルコストにじゅうまるさんかく改良工事比率に差が出る。詳細はコチラ
保証体制まるまるSS試験はほとんどの機関に適用している。表面波探査法は住宅保証機構株式会社、NPO住宅地盤診断センター等。

地耐力測定

表面波探査法は、まず層境界を判別し、それから各々の層の支持力や沈下特性の計算を行います。
これに対して、SS試験(スウェーデン式サウンディング試験)は層の境界を測定時の回転数はもとより、音やロッドに伝わる感触といったもので、 層境界を判別します。これはある程度の経験を積んだ技術者であれば可能なことです。しかし、地盤によっては、経験者の方でも判別が困難な地盤もあります。「各層が各々どのくらい変形する」というのが沈下量の考え方なので、層境界をおさえなければ、地耐力の測定は難しいということになります。

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