皆様は地盤調査についてご存知ですか?
住宅を建てる際には、現在ではほとんどの場合、地盤調査が行われています。なぜ地盤調査を行わなければならないのか、一緒に学んでみませんか。

地盤調査とは?

地盤調査は、その地盤がどれだけの重みを支える力があるのかを調べるために行います。 地耐力調査ともいいます。 地耐力が足りない地盤は、住宅などの重みを支えられず、地盤が沈んでしまい、建物が傾いてしまうことがあります。 これを、不同沈下といいます。

日常生活に支障をきたすほどの不同沈下を起こしてしまった物件を修正する工事には数百万円もの費用がかかる場合もあります。 また、物件の価値自体も非常に下がってしまいます。 不同沈下を起こさないために、しっかりとした地盤調査が必要となるのです。

住宅の地盤調査の手法としては、表面波探査法やスウェーデン式サウンディング試験(SS試験)などがあります。
地盤調査を行った結果、「住宅をたてるには地耐力が足りない」、そんな場合には、地耐力を向上させるための、地盤対策工事や地盤改良工事が必要となります。

地盤調査をおろそかにしたり、調査結果を考慮せずに施工するとこんなことに…

地盤調査をおろそかにしたり、調査結果を考慮せずに施工するとこんなことに画像

以上のように地盤調査の⽬的は、「地耐⼒」を計測することです。

このことは、平成13年国土交通省告示1347号の中に示されています。

地盤の許容応力度(支持力)と沈下特性=地耐力

地盤の許容応力度(支持力)

国土交通省告示1347号に記されていることを分かりやすく表現すると、以下のようになります。

※支持力20kN/㎡は、「この地盤は1m×1mの面積で約2tの重さを支えることができる」ことです。

沈下特性

また、国土交通省告示1347号では、「建物を建てた際の、自重による沈下とその他の地盤の変形などを考慮して、建物に有害な損傷、変形が生じないことを確認すること」も必要とされています。

従って、地盤調査結果は、①「地盤の許容応力度(支持力)」の結果と、②「建物を建てた際、建物の重み等の影響による沈下量の予測」の結果の双方が必要になるといえます。

地耐⼒とは

地盤の地耐⼒とは、「①地盤の固さを表す【⽀持⼒】」と「②住宅を建てたとき、住宅の重みでどの程度沈む可能があるか【沈下特性】」の2つをいいます。

①地盤の固さを表す【⽀持⼒】

住宅の重さは、

  • ⽊造2 階建て20kN/㎡(≒2t/㎡)
  • ⽊造3 階建て30kN/㎡(≒3t/㎡)

となります。
※上記数値は、住宅基礎がベタ基礎の際の⽬安です。実際の荷重は、住宅の仕様によります。詳しくは⼯務店、設計者様にご確認ください。

例えば、⽊造2 階建ての20kN/㎡は、1 ㎡あたり2tの荷重が加わっている事になります。この荷重を地盤が⽀える事ができるかを調べます。この地盤が⽀えられるかどうかを⽀持⼒といいます。

地盤が20kN/m²の荷重を支えられるか

②住宅を建てたとき、住宅の重みでどの程度沈む可能があるか【沈下特性】

住宅を建てると、住宅の荷重で住宅が沈むことがあります。住宅が沈む際に均等に沈めば問題ありませんが、地盤状況によって1 ⽅向に沈んでしまう事があります。
住宅が、どの様に沈んでしまうかを調べることが沈下特性です。

住宅が均等に沈下する地盤

住宅は、地盤の固さが均⼀で地層がまっすぐなとき、均⼀に沈みます。これを等沈下といい住宅や住⼈に影響が出ない状況です。

住宅が不均⼀に沈下する地盤

住宅は、地盤の固さが不均⼀で地層が傾いているとき、不均⼀に沈みます。これを不同沈下といい、住宅に⻲裂が⼊るなどの損傷が発⽣したり、住⼈の健康に影響することがあります。

沈下特性は、住宅がどの程度、また、どの⽅向に沈む可能性があるかを調べることです。

地盤調査の⽬的は、地盤の固さを表す「⽀持⼒」を調べることと、勘違いしている⽅も多いのではないでしょうか。
実は、⽀持⼒だけでなく、住宅を建てたときに、どの程度沈下する可能性を⽰す「沈下特性」も含めて「地耐⼒」と呼びます。

他の地盤調査⽅法では、「沈下特性」を算出しない事がほとんどです。ビイックが採用する地盤調査方法である表⾯波探査法は、「⽀持⼒」の他に「沈下特性」も計算し、より無駄な地盤改良を⾏わない判定を⾏うことができます。

不同沈下事故は、誰の責任?

上のイラストのように、基礎に亀裂が入ったり、雨が吹き込む、サッシの鍵がかからないなどの弊害が 出る不同沈下事故が起きた場合、誰の責任になるのでしょうか?
答えは、住宅設計者、すなわち住宅を建てる会社が、不同沈下を起こさない住宅を建てる責任があるのです。

2000年4月に「住宅の品質確保の促進などに関する法律」が施行されました。 これによると、施工者は引渡から10年間は不同沈下が生じた場合、無償で修復などをしなければならない義務があると規定されています。

※ちなみに不同沈下事故が起きてしまった場合、沈下修正工事費500~800万円、傾いたために生じた内装のやりかえ数十万が生じ、場合によっては1000万近い金額になることもあります。

過剰な地盤改良工事

では、どんな地盤でも地盤改良工事を行っておけばよいということになるのでしょうか?
日本の住宅地は、むしろ充分な地耐力がある地盤の方が多いのが通常です。
充分な地耐力があるのに地盤改良工事を行うことは、コストの無駄です。また、地盤改良工事の種類によっては地下の環境を汚染する一因となることもあります。
地盤改良工事は出来るだけ最低限に抑えることも必要なのです。
そのためには、「しっかりとした地盤調査を行うこと」が非常に大切です。

基礎が基本。それは地盤調査から

地盤調査とは、「地盤の状況を見極めて、住宅を建てても大丈夫か、大丈夫でなければどのような手立てが必要か」ということを明確にするために行います。
建物のプランなども考慮し出来るだけ正確な線引きが求められ、またその責任は設計者が担っているということを忘れてはいけません。

※このHPではこのように定義しています。

地盤改良工事 表層改良工事・柱状改良工事・既製杭工事

地盤対策工事 再転圧・砕石置き換え工事・深基礎など